毎年夏になると、ニュースで必ず耳にする「脱水症」と「熱中症」という言葉。酷暑の2025年は「高齢者が脱水症により自宅で死亡」という事件が度々報道されたことも記憶に新しいです。
「夏だけ注意したらいい」
「どっちも同じこと」
「私は若いから関係ない」
と、思われている方が多いと思いますが、答えは❌️です。
実は、脱水症・熱中症はどちらも季節を問わず一年中起こりうる症状。
冬の暖房が効いた室内でも、気づかないうちに水分は失われています。
脱水症は「体内の水分と塩分が不足して血液のめぐりが悪くなった状態」、熱中症は「暑さと脱水などの状況が重なって熱が逃げず、体温が上がりきってしまう状態」。
似ているようで、原因も症状も異なる。そして、いつでも誰にでも、起こりうることなのです。
特に高齢者やプレ高齢者(50〜64歳)にとって、脱水症・熱中症は他人事ではありません。
今回は両者の違いと対策をわかりやすく整理します。
脱水症と熱中症のビミョーな関係
脱水症と熱中症のことを、難しい言葉は使わず、簡単に整理しました。次の表を参照してください。
| 脱水症 | 熱中症 | |
|---|---|---|
| 原因 | 体内の「水分や塩分」が足りなくなること(発汗・下痢・食事不足など) | 熱がこもり、体温調節がうまくいかなくなること(+脱水が関わることが多い) |
| 起こる場所 | 室内でも起こる(エアコンの効いた部屋でも注意) | 高温多湿な屋外や、風通しの悪い場所で起こりやすい |
| 主な症状 | 口の中が乾く/尿が少ない、濃い色になる/だるい、ぼんやりする/食欲がない | めまい、立ちくらみ/頭痛、吐き気、意識がもうろう/汗が止まる、皮膚が熱い |
| 重症化すると? | 血液の流れが悪くなり、熱中症・腎臓障害などを引き起こす | 命の危険もある重篤な状態(熱射病)に進行する可能性がある |
| 対策 | こまめな水分・塩分補給/食事を抜かない/運動・発汗後のケア | 気温・湿度をチェックする/涼しい服装、日陰で休む/体を冷やす工夫(冷却グッズなど) |
| 関係性 | 脱水は熱中症の「原因のひとつ」脱水が進むと熱中症になりやすくなる | 熱中症の中に「脱水症状」が含まれることが多い |
どちらとも重なる症状が多いですが、脱水症は「いつでも」「どこでも」「誰でも」季節問わず起きうる症状です。
それに対し、熱中症は「暑さ」が引き金。
例えば真冬でも高温多湿の環境下(サウナ、満員の電車やコンサート会場など)であれば起こります。
暑さに脱水症が絡み合うと、体温を下げる働き(汗をかいたり尿を出すこと)ができなくなって、重症化します。もともと体の水分が少ない高齢者が脱水症・熱中症ともに重症化しやすいのはこのためです。

「暑い中で体調が変だな」と感じたら、まずは水分+塩分を補給し、涼しい場所での休憩が大事です。
早めの対応で、脱水症・熱中症の両方を進行させないことが重要なカギになります。
🔗高齢者の脱水と対策について詳しくまとめた記事があります。
熱中症対策はどうしたらいい?

では、具体的にどんな対策をとれば良いのでしょうか?
室内での対策
室内は、体力を温存・回復するための大事な基地です。その点を踏まえた環境づくりを心がけましょう。
ポイントとしては
- 適度な温度調節:エアコンを利用する、カーテンやブラインドで直射日光を遮断
- 体力を蓄える:水分をこまめに取る、食事は腹八分目で欠食や食べすぎは控える、睡眠時間を削らない
- 体の表面を冷やす:畳やフローリングでは裸足で過ごす、扇風機やファンを活用、ゆったりとした服装、温めのお湯に浸かる
- 静かな空間:テレビやスマホなどの音源をOFFにする
室外での対策
室外では暑さから身を守ることに気を配りましょう。
ポイントとしては
- 直射日光を避ける:帽子・長袖・サングラス・日焼け止めを利用
- 風を送る:ハンディファンや扇子などを持参
- 太い動脈や筋肉を冷やす:首にタオルを巻く・ボディシートでこまめに身体を拭く
- 時間を決める:作業やスポーツは、早朝や夕方に行うように配慮。日陰での水分休憩時間を行程に組み込む
長時間暑い環境下で過ごさなくてもいいように、作業計画を立てることや脱水症を誘発する感染症の予防など、体力を温存するためのセルフケアの実践が、熱中症回避のとても重要なポイントになります。
熱中症を悪化させるとどうなるの?
もし対策を怠り、熱中症が進行してしまったらどうなるのかを、下記の表にまとめてみました。
| 種類(段階) | 主な症状 | 体の中で起きていること | 応急処置(その場でできること) |
|---|---|---|---|
| 1度(軽度)熱失神・熱けいれん | めまい/立ちくらみ/筋肉のけいれん(こむら返り) | 血圧が下がって脳に血液が届きにくい。塩分不足で筋肉が異常に収縮 | 涼しい場所へ移動/横になって足を少し高くする/スポーツドリンクなどで水分+塩分を補給 |
| 2度(中等度)熱疲労 | 頭痛/吐き気/全身のだるさ/大量の汗 | 体が水分や塩分を失って、体温調節ができない状態 | 速やかに冷房のある室内へ/衣服をゆるめて体を冷やす/経口補水液などをゆっくり飲む |
| 3度(重度)熱射病 | 意識がもうろう/反応がにぶい/けいれん/体温が高く汗が出ない | 脳や内臓にダメージが始まり、命の危険がある状態 | すぐに119番通報/体を氷や水で冷やす(首・わき・足のつけ根)/無理に飲ませない(意識がないとき) |
この表を見て、「え?これって…」と思い当たる症状がありませんか?
1度(軽度)の症状は、体験したことが「あるある!」という方が多いと思います。
- 酷暑の夜。昼間はつけていたエアコンを、切タイマー設定で夜中に止める。
- 疲れて帰宅した後、ご飯の前に缶ビールを1本、2本、3本……気がついたらそのまま寝落ち。
- 汗をかいているけど、仕事が忙しくて。時間が惜しいので、トイレも水分摂取も控えがち。
- しんどいけど、これぐらいは大丈夫!休み返上で推しのライブに参加する。
そんな出来事のあと、
ふくらはぎがビシッとつり、悶え苦しむ「恐怖のこむら返り」。
思わぬところでフラッとよろめく「真昼のめまい」。
これは立派な熱中症・脱水症の主症状です。
こういう時はぜひ「休む」「冷やす」「水分で潤す」ことをしてほしいのです。
早く手当をしてあげれば、大方体は回復します。この段階を疎かにすると、救急車で搬送…ということにつながってしまいます。
脱水症・熱中症は、早めの気づきと対処が命を守ります。あなたの大切な命です。どうか大事にしてください。
🔗脱水予防に用いる経口補水液に関して紹介した記事があります。

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