「あのBさん、こだわりが強くてちょっと大変なんですよね」
施設のスタッフさんから、そんな話を度々聞いたことがあります。
確かに、持ち物の管理や入浴の手順など、独特のマイルールがあって、それが周囲と摩擦になることもあります。
でも、しばらく関わっていて気づきました。
Bさんは、自分の生活を自分でコントロールしている人だ、と。
Bさんは91歳。手や足に変形はありますが、車椅子を自分で漕ぐことができます。
Bさんの習慣① 体を動かす
Bさんは毎日欠かさず、施設全員参加のラジオ体操に加えて、自分でストレッチをされています。
車椅子に乗ったまま体操に参加し、終わったあとは自室に戻って静かにひとりでストレッチ。
誰かに言われたわけでもなく、自分で決めたルーティンです。
Bさんの習慣② 日光浴
もうひとつの習慣が、日光浴です。
Bさんは毎日、自分で車椅子を漕いで「日の当たる場所」を探しに行きます。
窓越しの光を求め、廊下の角や食堂など、季節によって場所は変わります。でも、毎日続けている。
誰かに連れて行ってもらうのではなく、自分で動いて、自分で見つける。
そのことが、私にはとても印象的でした。
看護師目線のポイント:「こだわり」は自律性のあらわれ
介護の現場では「こだわりが強い」はしばしば困りごととして語られます。
でも、こちらが管理を強制しなければ、Bさんはとても柔軟に対応してくださいます。
物事の判断もしっかりできる。
「こだわり=わがまま」ではなく、「こだわり=自分の生活を守るルール」 だったんです。
91歳。車椅子生活でも自分のルーティンを持ち、自分で判断して動ける。それ自体が、すごいことだと思います。
これは前回ご紹介した90歳Aさんの絵日記(👉️事例①を読む)にも共通する話です。
Bさんの言葉 91年分の哲学
毎日の変形した手と足指の処置やケアのあと、Bさんは必ず言葉をかけてくださいます。
「あー、気持ちよかった。ありがとう」
そして、家政婦をされていた頃のエピソードを話しながら、こう言われるのです。
「色んな方がいましたが、誠心誠意で対応すれば変われるんですよ」
「あなたは誠実に務められてますよ」
そう言って、手を合わせてくださいます。
逆転の気づき
ケアをしているのは私のつもりでした。
でも気づいたら、Bさんの言葉に、私が変えていただいていました。
91年間、たくさんの人と関わりながら積み上げてきた哲学。それが、処置のあとのほんの数分の言葉の中に、ぎゅっと詰まっているのです。
まとめ
Bさんの習慣は、特別な道具も、大げさなトレーニングも必要ありません。
- 毎日のラジオ体操とストレッチ(車椅子に乗ったまま)
- 自分で車椅子を漕いで日の当たる場所を探す日光浴
- 感謝とねぎらいの言葉
自分で決めて、自分で動く。そして、人に温かく関わる。
それが、91歳のBさんが今日も生き生きとしている理由なのかもしれません。
Bさんの習慣は今日からでも始められるものばかりです。

コメント